文化交流としての殺陣

ここ数年「日本刀ブーム」が起こっていると度々TVや雑誌で取り上げられているのを目にします。ブームが起こっていると言われても普通に生活しているとそのブームを感じることはあまり出来ないかもしれませんが、実際殺陣教室に居るとゲームや漫画などが好きで殺陣に憧れを持っていた方や、舞台を見たことがきっかけで殺陣を習いに来た生徒さんに沢山あう事が出来、そのブームもあながち嘘ではないのかなと感じます。

殺陣ブームは日本国内だけではなく、外国/外国人の間でも実はブームが起こっています。

ジャパンエキスポや各国での文化交流会様々な所で殺陣の披露が外国人向けに行われており、外国人からも人気を博しています。

そもそも外国人からみた日本のイメージと言えば「侍・忍者」がトップに来るので日本刀を使用した「殺陣」が人気になる理由が分かります。
今回は文化交流として「殺陣」を私が実際に体験し感じた事を中心に見ていきたいと思います。

目次

1.外国人から見た日本の認識

2.外国人観光客と殺陣

2-1.アメリカ人観光客の方の体験

2-2.ロシア人観光客の方の体験

2-3.サウジアラビア人観光客の方の体験

まとめ

1.外国人から見た日本の認識

外国人は日本にはまだ「侍・忍者」がまだ日本に居ると思っている人がいるという話を聞いたりしますが、実際はどうなのでしょうか。

日本に住んでいればもちろん現代には「侍・忍者」はもう居ない事は小さい頃に分かりますが、外国人はそうではありません。
自分の国の事を外国人がどう認識しているかは分かりませんが、他の国のイメージを見てみるとどのような認識で「侍・忍者」がいると思っているかが分かるかもしれません。

例えば我々日本人が「インド人」に対して持つイメージは「カレー」や「頭にターバンを巻いている」だと思いますが、実際にインド人は今でもターバンを巻いているのでしょうか。

実際にインドに行ってもターバンを巻いた人に会えるのは稀のようで、ターバンはシク教という宗教の教徒が巻いている事がある位でインド人口の2%しか居ないそうです。

外国人が日本に持っている「侍・忍者」のイメージは我々がインド人に持つ「ターバン」のイメージと似ているようなものなのではないでしょうか。

2.外国人と殺陣

サムライブでは外国人観光客向けに侍体験プランを行っております。

日本に住む方ですら殺陣を体験する機会は役者でもない限り中々無いので、外国から日本に来た方が興味を持つのは納得できますね。

サムライブでは様々な国から日本に来た外国人の方を対象に侍体験を行ってきました。

外国人が殺陣に興味を持って楽しんでもらえることは何となく想像出来ると思いますが、どのように体験をし、何を楽しみ、どこに感銘を受けてもらえたかをここでは書いていきたいと思います。

2-1.日本在住アメリカ人の方の殺陣体験

サムライブで外国人向け侍体験を参加される方は様々な国籍の方がいますが、オーストラリアやアメリカに住む外国の方が団体や個人でいらっしゃる事が多いです。

その中でも印象に残っている体験の様子を紹介したいと思います。

最初に紹介する体験談は日本在住のアメリカ人ですが、日本語は勉強中の方で英語を中心で侍体験をしていただいた為このような括りで紹介させていただきます。このお客様はアメリカ人3名で参加していただきました。

アニメ「るろうに剣心」の大ファンである友人の誕生日プレゼントとして、侍体験をされていきました。外国人で侍体験をされるお客様は着付けをして「侍」の格好で刀を持ち、それで殺陣が出来る事に興味を持たれる方が多く、着付けをし刀を持ったらまず写真撮影が始まる位です。

このお客様の場合は「るろうに剣心」の主人公の衣装を持参し、そちらの衣装で着付けをして侍体験をしてもらいました。サプライズだったこともありその方は声を上げて大喜びしてもらえました。もちろん体験していただいた立ち廻りは「るろうに剣心」の逆刃刀をモチーフにした立ち廻りをしていただきました。

誰かのプレゼントとして侍体験を利用していただく場合も数例あり、お客様の要望に合わせたレッスン内容や立ち廻りをして頂き皆さん楽しんで参加されています。

2-2.ロシア人観光客の方の殺陣体験

次に紹介するのはロシア人の家族で体験に来た方々です。

ロシアから来た5歳の女の子と6歳の男の子とお母さんと通訳さんの4名での参加でした。

4名での参加予約だったのですが、来日した当日に侍体験に参加していただいたこともあり、お母さんは疲れてしまった為急遽見学をし、カメラマンのように子ども達の写真を撮っていました。

子ども達も子ども用の着付けと刀を使用してしっかりと大人と同じ格好で侍体験をしてもらいます。侍の「袴着付け」が基本的な衣装となりますが、事前に要望がある場合は忍者衣装にする事も可能です。

日本人からすると外国人が好きなのは侍のイメージが強いと思われますが、実際は侍と同じくらい忍者の人気があるので、私が外国人の方と殺陣をするようになった時は少し驚きがありました。

忍者人気の理由ですが大体はアメコミの人気作である「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」か「NARUTO」の影響が大きいと体験に来た外国人の方と話して感じました。

今回のロシア人の子ども達は侍の恰好で体験をしていただきましたが、タートルズのように目に布を巻きたいと言っていました。
長距離の移動の後で疲れていたようでしたが、日本の礼儀作法や刀の扱い方を説明するととても興味深そうに聞いてもらい、立ち廻りの時間になると子ども達は疲れを忘れて楽しんでもらえました。

立ち廻りをしている時は自然と言葉の壁がなくなり、通訳さんを挟まなくとも子ども達と殺陣を通して会話をする事が出来ました。

明日も来たいと子ども達に言ってもらえる程楽しんで日本の文化・考え方を勉強していただけました。

2-3.サウジアラビア人観光客の方の体験

皆さんはサウジアラビアの国旗はご存知でしょうか。

サウジアラビアはイスラム教徒が国教で他の宗教の信仰を認めない王国の為、国旗にコーランの一節がアラビア語で書かれた文字の下に聖地メッカをの守護を意味する剣が書かれています。

サムライブでは毎年数十名のサウジアラビア王国の学生さんに侍体験をしていただいております。

サウジアラビアは国旗に刀が書かれているように刀が身近にある存在で、侍が「魂」として刀を扱っていた事にとても興味を持っており、他国のお客様より日本の礼儀作法、侍の心構えや刀に対する扱い等の座学的内容が求められました。

国が違えば文化が違うのは当たり前ですが、サウジアラビアの文化での刀と日本の侍の刀でとても大切なものという共通項から文化の違いを楽しんで勉強していただきました。

もちろん座学だけではなく、日本刀で行う殺陣・立ち廻りもとても楽しんでいかれました。

まとめ

外国人の方と侍体験をする時に毎回感じるのは、「殺陣」は「言葉のいらないコミュニケーション」だという事です。

侍体験に何を求めて来ていただくかはお客様によって様々ですが、どのお客様も立ち廻りはとても楽しんでいただいております。

礼儀作法の説明や技の稽古では少し言葉の壁を感じる事があっても、本当に不思議なもので立ち廻りになると英語もロシア語もサウジアラビア語もスペイン語も日本語も関係なくお互いに目を合わせるだけで意思疎通が出来てしまうのです。

文化交流として、コミュニケーションツールとして「殺陣」は不思議な魅力が詰まっています。外国から来るご友人等がいらっしゃる場合は是非ご一緒に侍体験をしてみるのはいかがでしょうか。