殺陣の映画を観て勉強したいと思っている方にオススメ時代劇映画を挙げてみた。
どれも主人公に雰囲気のある、また特徴のある殺陣ばかりである。
是非この10作品は観てもらいたい作品である。
目次
1.『座頭市』 勝新太郎
2.『眠狂四郎』 市川雷蔵
3.『宮本武蔵』 萬屋錦之介(中村錦之助)
4.『切腹』 仲代達矢
5.『椿三十郎』 三船敏郎
6.『子連れ狼』 若山富三郎
7.『昭和残挟伝』 高倉健
8.『緋牡丹博徒』 富司純子(藤純子)
9.『木枯らし紋次郎』 中村敦夫
10.『必殺シリーズ』 藤田まこと
1.『座頭市』 勝新太郎
時代劇の有名なキャラクターであり、何度も北野武監督、香取慎吾、綾瀬はるか主演など何度もリメイクされている作品『座頭市』。
キャラクターの特徴は、『盲目というハンディキャップを負いながらも、超人的な居合術を持つ侠客』である。
目が見えなくとも、どんなに多くの敵がいても一瞬にて斬り伏せてしまう高速の抜刀術。
また仕込み杖から繰り出される逆手斬りも特徴の一つである。
数ある『座頭市シリーズ』の中でもやっぱり『勝新太郎』さんが一番イメージが強い。
殺陣の実力も驚異的であり、美しくもあり、かつ本当に高速の居合である。また勝自身三味線奏者であったことからか、殺陣の独特のリズムが心地よい。
本人も役作りのため目隠しをしながら、弟子達に襲い掛からせるなど、実戦の練習もしていたそうだ。
2.『眠狂四郎』 市川雷蔵
当時、勝新太郎と共に大映の「二枚看板」と言われた市川雷蔵。
彼のハマり役である『眠狂四郎』が素晴らしい。この作品もたくさんの人にリメイクされている。
眠狂四郎の特徴は、非常に色気のある剣士であることだ。
また虚無感を持ちつつ、相手を平然と斬り伏せる。
また『円月殺法』と呼ばれる剣術を用いるのだが、無敵の活躍をする。
特にこの作品で面白いのが『円月殺法』だ。
刀で身体の目の前を一回転させ、催眠術のようなもので幻想的な雰囲気を醸し出し、相手の意識を拡散させ、引き寄せるように斬る、必殺剣だ。
中々過去にも「必殺シリーズ」を除けば、ここまで演出的にも印象の強い必殺技はないと思う。
色気のある芯を学びたい方、着流しの動きを学びたいのであれば絶対に観るべき作品だ。
3.『宮本武蔵』 萬屋錦之介(中村錦之助)
日本人ならば『宮本武蔵』という剣豪の名前を知らない人はいないであろう。
彼は日本で一番有名な剣豪の名前であろう。
同じくたくさんの作品が存在するが、『萬屋錦之介(中村錦之助)』の宮本武蔵は群を抜いて素晴らしい作品となっている。どれも吉川英治の小説を原作としているところが少なくない。
五部作の映画となっていて、宮本武蔵の生き様をしっかりと描けていて、また大立ち廻りの迫力が凄い。
中でも『般若坂の決斗』『一乗寺の決斗』の大殺陣は圧巻である。
また二刀流と言えば宮本武蔵というように、二刀流を勉強するのであれば是非観て頂きたい。
4.『切腹』 仲代達矢
この作品は脚本や構成が素晴らしく、海外でも高い評価をもらっている。
切腹という日本独特の習俗をテーマにサムライ精神にアンチテーゼを込めた作品となっている。
また殺陣としての特徴は、丹波哲郎との一体一の立ち回りに真剣を用いている点だ。
なので、どの作品よりも殺陣の緊張感が伝わってくる。
普通の立ち回りでは豪快さ、緊迫感、爽快感、格好良さなどを感じてもらうものだが、この作品はどの作品よりもリアリズムを追究した作品と言えよう。
刀を振る、斬るの一手一手の重さが伝わってくる作品だ。
仲代達矢の眼光が鋭く、大殺陣の際の鬼気迫る感じも素晴らしい。
作品として非常に面白いので観てもらいたい。
5.『椿三十郎』 三船敏郎
日本映画界を代表する監督、黒澤明監督の傑作『椿三十郎』。
黒澤監督は、『七人の侍』では集団剣戟の迫力と臨場感を出し、『用心棒』ではダイナミックな迫真力のある立ち回りを見せ、その点を踏まえ『椿三十郎』を創ったと言われる。
椿三十郎の殺陣は、当時殺陣界に革命を起こした作品と言われている。
その話題のシーンが最後の三船敏郎と仲代達矢の一体一のシーン。
シナリオでは『これからの二人の決闘はとても筆では書けない。長い恐ろしい間があって勝負はギラっと刀が一ぺん光っただけで決まる』と書いてあるだけだ。
この居合のシーンは、三船がどう刀を抜き、どこを斬ったのかも一度見ただけではわからない程の速さだ。そして、極めつけは、あの血を噴き出す演出だ。
この一瞬のシーンは圧巻の一言に尽きる。
一回だけで終わる殺陣でこれほどスカッとするものは後にも先にもこれだけであろう。
また三船の他のシーンの殺陣も見応えがある。
三船の殺陣の特徴は、テクニックを凌駕するほどの動物のような凄まじいエネルギーにある。
特に目ヂカラがすごく、斬り手一つ一つに命が通っていて、観ているものを爽快な気分にさせてくれる。
6.『子連れ狼』 若山富三郎
『若山富三郎』は数多く存在する時代劇俳優の中で、殺陣が最も優れた俳優と言われていた。
僕も若山富三郎の殺陣が一番好きである。
そんな彼の作品の中で、『子連れ狼』の拝一刀役はハマり役である。若山の殺陣は誰にも負けない豪快さを感じる。
人を斬る際のあの迫力は彼しか出せない雰囲気であると思う。
またどんな得物も扱うことができ、トンボもきれるなど見た目に合わず器用な一面を持つ。
他にも『唖侍鬼一法眼』という勝プロダクション制作の元作られた時代劇ドラマもあり、これの演出のクオリティーの高さはドラマとは思えない程だ。
映画並みの画の力強さがある隠れた名作だ。
7.『昭和残挟伝』 高倉健
ヤクザの立ち回りと言えば『高倉健』。
着流しのヤクザの粋な背中を語れるのは高倉健、そして鶴田浩二の二人であろう。
着流しのヤクザは、袴の侍とは全く違う色気を感じるのである。
殺陣は決して美しくも豪快さもあるわけではないが、ヤクザの立ち回りにはドラマがある。
高倉健の殺陣を評価される点は技術ではなく、ドラマの表現である。
またお芝居で『背中で語れるようになりたい』ならば、ヤクザ映画を観るべきだ。
オススメは『昭和残挟伝シリーズ』だ。
最後のカチコミシーンに行く前が格好良く、仁義を通そうとする姿に惚れてしまう。
男ならばこうありたいと思える作品だ。
8.『緋牡丹博徒』 富司純子(藤純子)
『緋牡丹博徒シリーズ』は女性が芯をとっている数少ない作品の一つだ。
しかも、その中でもクオリティーが非常に高い。
女性ヤクザ演じる富司純子(藤純子)の殺陣は色気がある。
立ち回りをするとどうしても汚くなってしまうものだが、まるで舞っているように敵を斬っていく様は美しいとしか言い様がない。
また女性としての振る舞いも勉強になる良い作品であろう。
女性で殺陣を勉強している子は是非とも観て欲しい作品の一つである。
この作品から『話』の色気を感じて欲しい。
9.『木枯らし紋次郎』 中村敦夫
殺陣のリアリズム、本来の戦いの泥臭さを追求した作品『木枯し紋次郎』。
本来の斬り合いは綺麗なものではないということを念頭に、刃合わせも極力控えるようにし、突きを多く手に入れて創られている。
また戦いが終わった後は、息を切らすなどとにかそれまでの時代劇とは一線を画した作品である。
木枯し紋次郎というキャラクターが評判高く、三度笠を被り、爪楊枝を咥え、合羽を着ながら動き回る。この紋次郎スタイルは見た目としてのインパクトは強い。
キャラクターもヒーローでありながら、キザなニヒな役どころが特徴的だ。
キザな役どころの殺陣を勉強したい人にオススメだ。
10.『必殺シリーズ』 藤田まこと
『必殺シリーズ』は、殺陣が凄いわけではない。
むしろ殺陣という殺陣がない場合も多くある。それぞれ『必殺』を駆使して、悪を裁く。
そこには、『殺し』の美学があり、立ち回りよりも『殺し』そのものに凄みを感じた。
殺陣は、ハードボイルドさを感じる作品である。
藤田まこと演じる中村主水の殺陣は、手数が多くあるわけでもなく、美しいわけではないが、斬った後ののセリフがなんとも気持ち良い。
なんと言ってもそれぞれが『殺し』をした後の決め方が上手い。
決め方、見得をきるのが非常に上手い作品だ。
まとめ
今回殺陣がるオススメ映画をまとめたが、面白い時代劇はもっとある。
ここに書けないのが残念に感じるものが多くある。また機会があれば紹介していきたいと思う。
今までこれだけ素晴らしい作品が先代が残してくれたのだから、これからも新しい時代劇、殺陣の世界を創っていきたいと思う。
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五代新一